こんにちは、クレスクントのウラノです。
前回は革の話から逸れてしまったので、今回は革のお話を。
ここ最近新たな型紙を作成して色々とものづくりを進めていた中の一つ、システム手帳です。
システム手帳はミニ6穴のスリムタイプの物を以前作った事があったのですが、
自分でも手帳があった方が便利だと思うようになったので、今回の作成に至りました。
そこで、自分が使うシーンを想像しつつ、その後の展開もできるようにと考えた結果、この形に落とし込みました。
今回こだわった部分は、
・本体はシンプルな構造で、最低限の機能のみとする
・使いやすさ重視の為、180度開けるものとする
・色々な方の用途に必要に応じて合わせられるように、ペンホルダーやカードケースなどのカスタムはリフィルタイプとする
…の3点で、これを実現できるように設計と試作を繰り返しました。
1つ目のシンプル構造については、本体自体に色々な機能を付けてしまうと人によっては不要な機能が存在する事となってしまい、そこにも価格が発生してしまうのを防ぐ意味合いと、本体の内側をなるべくフラットにしたかったという理由です。
このため、内側はバインダー金具とリングガードのみで仕上げました。
2つ目の180度開けるという部分については、今回最もこだわったところかもしれません。
表装と内装に2枚の革を張り合わせた後、そのまま曲げると外径と内径の差が発生し、内装の曲がりの部分に不要な皺が発生したり、つっぱって曲がりにくい状態になったりといった事が起こります。
これを解決するにはいくつか方法があるのですが、一番簡単なのは内装を付けない事です。
曲がる部分は表装の床面(革の裏面)が見えた状態となりますが、そこを気にしなければ手軽な解決方法だと思います。
ただ、今回は高級感を出したかった為、床面は極力見せたくなく却下しました。
そうなると内装を付ける事になるのですが、前述した通り外径と内径の差が問題となってきます。
通常はその問題を解決するために曲げた状態で貼り合わせるのですが、それを行ってしまうと表装よりも内装の方が短くなってしまうので、力を加えて180度開いたとしても勝手に閉じてきてしまうことになりパタンと180度開きません。
そこで、今回は内装がスライドするような作りで問題を解決する事にしました。
内装のパーツを分断させ、曲げた時に発生する内径の差がスライドにより片方の内装に潜り込む形式です。
180度無理なく開き、閉じた時もキレイに収まるサイズにて仕上げました。
また、この構造にすることで、バインダー金具が壊れた場合でも自分で付け替えが可能な設計を実現しています。
レザー製品は長く使用できますが、金具を利用している場合は先に金具がダメになってしまう事が多いので、メンテナンスのしやすさは大きなポイントになったと思います。
3つ目のカスタムについては、1つ目に関連するのですが、
シンプル構造にした分、人によっては必要な機能も削ぎ落としているため、それを補完するためにリフィルタイプでの機能追加としました。
栞や下敷きやペンホルダー等、自分で利用する際にあると便利かなと思うものや、以前オーダーされた事がある物をいくつか作成していますが、
手帳を使う人それぞれの好みもあると思うので、この部分は別途オーダーで受けてみるのもありかなと思っています。
今回はミニ6穴サイズのみ作成したのですが、現在バイブルサイズも設計中なので、近日公開できるように進めていければと思います。
ちなみに、このシステム手帳に限りませんが、デザインやサイズはそのままに、革やステッチのカラーを変更するといったカスタムオーダーは随時受け付けております。
受注生産となりますが、本体をツートンカラーにしたり、ステッチとの組み合わせでオリジナリティを出したりといった、他にないご自身だけの特別な一品に仕立てる事が可能です。
使用する革によっては価格が若干変動することがありますが、是非ご自身の好みのアイテムを手にしていただければと思います。
— CRESCUNT Leather Works —