こんにちは、クレスクントのウラノです。
実はしばらくブログをお休みしていた期間に、かねてより導入を検討していた工業用の腕ミシンを迎え入れました。
レザークラフトをされている方はわかると思うのですが、個人のクラフターにとって工業用の腕ミシン導入は大きな決断かなぁと思います。
私も随分悩んだのですが…今日は導入の背景と、今後の展望について少しお話してみようと思います。

レザークラフトの原点~ショップ開設への道のり
レザークラフトを始めた一番のきっかけは、シンプルに「自分だけのオリジナルバッグを作りたい」という思いでした。
ただ、いきなり大物であるバッグに挑戦しても納得のいくものは作れないだろうと思い、まずは基礎を固めるために小物制作からスタートしました。
比較的手先は器用だったので、小物であればと思っていたのですが…最初の頃に作ったアイテムは酷い出来で、これいつ使うの?というような謎の金貨袋や、とにかく取り出しにくいカードケース等…
今思えばよく挫折しなかったなという完成度だったので、当初はまさか自分が作ったものを販売するとは夢にも思っていませんでした。
そんな完成度だったのですが、ものづくりとして楽しかった事とバッグ制作の目標があった事で諦めずに作り続けていくうちに、自然と上達していき納得のできる作品ができるようになってきました。
反復して同じものを作る事も多かったので、自信の持てる一点を試しに販売してみようと踏み切ったのがショップ開設の始まりでした。

ショップを始めてからは、クレスクントのロゴ作成から始まり、高品質な資材の仕入れ、機械の導入、アイテムの設計から試作制作、SNSでの情報発信やホームページの開設、一つ一つの作品の制作、そしてその魅力を伝えるための写真撮影、販売に至るまで…
気が付けばレザークラフトの世界にどっぷりと浸かり、その奥深さに魅了され続けて今に至ります。
そんな中で今回のミシン導入に踏み切りました。
念願のミシン導入、なぜ今だったのか?
レザークラフトに没頭する中で、一つだけ大きなジレンマを抱えていました。
それは、ショップ運営に関連する様々な作業に時間が取られ、肝心の「自分用のバッグ」を作る時間がほとんど確保できない、という状況です。
それどころか、ショップで販売するアイテムの制作ですら、手作業では追いつかないことがしばしば…。

「このままでは、本当に作りたいものが作れない。お客様にも、より早く魅力的な作品を届けたい。」
そんな思いが募り、縫製のスピードと精度が格段に向上し制作効率が飛躍的にアップする工業用腕ミシンの導入に踏み切りました。
ただ、ミシンがあれば何でも上手くいくわけではなく、やはりミシン縫製にも技術が必要です。
縫製箇所や革の厚み等によって、糸調子を合わせたり押さえを変更したり圧を調整したり針を変えたり手回しで縫い進めたり…細かな設定や技術がかなり必要な事もわかりました。
そこで、導入後しばらくは自分用のアイテム制作でミシンの操作に慣れる練習をかなり重ねました。
そして、その成果として念願だった自分用のバッグもついに形にすることができました。

もう1年程使っているのですが、やはり実際に使ってみると改善点や「もっとこうしたい」という部分も色々と見えてくるものですね。
他にも色々なバッグにチャレンジしているので、これから少しずつバッグ制作のスキルも磨き上げていきたいと思っています。

手縫いとミシン縫製の融合がもたらす新たな可能性
「ミシンを導入したから、これからは全てミシン縫製に切り替えるのですか?」と聞かれることもありますが、決してそのようなことはありません。
どちらが優れているといった見方ではなく、手縫いならではの温かみや表情、そしてミシン縫製の持つ堅牢性や均一な美しさ、その両方に魅力を感じています。
今後は、アイテムの特性やデザインに合わせて手縫いとミシン縫製を巧みに使い分けることで、それぞれの長所を最大限に活かした作品作りに挑戦していきます。
手縫いとミシンの融合によって、これまで以上に魅力的な作品を皆様にお届けできるよう私自身が成長していかないと…と考えていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
— CRESCUNT Leather Works —